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「採用代行・アウトソーシング」の歴史

誕生は1990年代

イメージわが国における採用アウトソーシングの歴史は、それほど古いものではない。専門的なサービスとして行う企業が現れたのは、1990年代の中ごろといわれている。現在の代表的な採用アウトソーシング会社の多くも、ほぼこの時期に創業している。

90年代の中盤から2000年にかけては、バブル経済の崩壊から景気が徐々に持ち直していた時期にあたる。企業は、それまで絞り込んでいた新卒採用を増やそうとしたが、問題があった。バブル崩壊後、間接部門、特に新卒採用を担当する人事・採用部門の人員を大きく削減していた企業が多く、いざ新卒採用を復活させようと思った時、マンパワーの不足に直面したのだ。また、人員削減や採用の一時休止によって、新卒採用のノウハウそのものが失われていた企業も少なくなかった。

しかも、バブル崩壊後の教訓から、多くの企業が「必要ならすぐに間接部門を増員する」という発想にはならなかった。間接部門の固定経費は抑えたままで採用パワーは増やしたいと考えたのだ。こうした企業ニーズから生まれたのが採用アウトソーシングのサービスだった。

採用アウトソーシング会社は、スタッフに人事経験者などをそろえ、企業に不足していた採用実務を担当するマンパワーとノウハウを提供した。特に新卒採用は、時期によって業務量の変動が大きいため、アウトソーシング導入のコスト的なメリットは大きかったといえる。

IT時代への対応

「ITバブル」といわれた2000年前後は比較的好景気な時期であり、IT産業が躍進した。これらのIT企業には新興のベンチャー企業が多く、積極的な採用を行ったが、組織が新しいため採用ノウハウがまったくないケースが多かった。そこで頼りにされたのが、採用アウトソーシング会社だった。

また、一般の企業でもIT化、特にインターネットへの対応は課題になっていた。代表的な就職メディアがちょうどこの時期に次々と就職サイトへとリニューアルしていったからだ。特に新卒採用では、インターネットが導入されたことによって1社当たりの学生の応募数が急増し、企業側の業務量の拡大にもつながった。また、企業の人事担当者は、メールの細かなやり取りやネットでの情報提供などのノウハウを十分に持っていなかった。

そこで、IT業界の採用で力をつけた採用アウトソーシング会社のサービスが、それまで以上に注目されるようになった。インターネットを活用して効率のよい採用を行っていく上で、採用アウトソーシング会社の業務パワーとノウハウが有効だと広く知られるようになったのは、まさにこの時期からだといえる。

厳選採用の時代

2000年代に入ると、「ITバブル崩壊→いざなぎ超えの好景気→世界金融危機」と、景気変動の波がより激しくなる。新卒採用でも、採用拡大期と抑制期が数年ごとに入れ替わるような状況となった。そのため、採用担当の人員は最小限に抑え、必要な時にはアウトソーシングで補うという発想がより一般的になってきた。

また、「厳選採用」が定着したことにより、多くの学生の中から優秀な人材を選抜する手法、さらにせっかく選抜した人材の内定辞退や入社後の早期退職を防ぐ方法など、「採用の質を高めるノウハウ」「ミスマッチを防ぐノウハウ」がこれまで以上に求められるようになってきた。

限られた社内のリソースでこうした高度なノウハウを保持するのは難しいという観点から、採用アウトソーシング会社が「採用コンサルティング」の領域にまで踏み込んだサービスを行うケースも増えてきている。

現代における採用アウトソーシング会社は、「コストとノウハウ」の両面から企業にとって欠かせないパートナーとなっているといえるだろう。

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企画・編集:『日本の人事部』編集部

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