「採用代行・アウトソーシング」のサービス内容
採用アウトソーシングは、採用に関するほぼすべてのプロセスに対応することができる。以下、主なサービスを表にしてみた。
採用戦略・企画 |
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業務代行 | |
ツール提供 |
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教育・研修 |
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主要なサービス内容
1)採用戦略・企画
採用アウトソーシングの活用の中でも、最もコンサルティング的な要素が強いのがこの段階。前年の採用活動の分析を踏まえて、採用戦略を組み立てるところから関わる。自社でしっかりした採用戦略を打ち出すことができ、業務代行を中心に利用したいという場合でも、この段階から採用アウトソーシング会社を含めたプロジェクト全体としての意思統一を図っておくことで、より効率的・高品質な採用が期待できる。
また、近年注目されているのが「選考プロセス・選考基準の策定」。優秀な人材を採用したつもりなのに早期に退職してしまう「ミスマッチ」が問題になるケースが多いことから、「これまでとは違う選抜手法を導入したい」という企業が増えているのだ。コンピテンシーを利用した人材イメージの設定などとともに、利用を希望する企業は急速に増えている。
2)業務代行
合否の決定以外のほぼすべての業務。一般的には10月の就職サイトオープン(2013年卒においては12月オープン)とともに、エントリーの管理や応募者対応といった実務で動き出すことが多いが、近年の早期化傾向に対応し、それ以前の「インターンシップ企画・動員・運営」などの段階から利用されることも増えている。
プロジェクトの終了は、5~6月の内定出しまでというパターンが基本だが、内定者フォローのフェーズでも引き続き採用アウトソーシング会社が担当する場合がある。もちろん、夏採用や秋採用、留学生採用や外国人採用の場合には、ピークをずらす形での利用も可能だ。
また、新卒紹介を利用するケースなどでは、紹介会社へのオリエンテーションや面接日程の調整、合否連絡といった「エージェントコントロール」の実務を採用アウトソーシング会社に任せることもできる。他にも話題のTwitterやFacebookなどのSNSを活用した採用(ソーシャルリクルーティング)など、さまざまな手法と組み合わせて利用し、業務効率を上げることが可能なのも採用アウトソーシングの特徴といえる。
3)ツール提供
現在、ほぼすべての応募者がインターネットを経由して企業にエントリーしている。そのため、就職サイトなどと連動して応募者データを管理する「応募者管理データベース」の使い勝手が業務効率を大きく左右するようになっている。各就職サイトでもさまざまな機能を持つツールを提供してはいるが、「使う側の人事の視点」で開発された採用アウトソーシング会社の提供するツールは、機能、使いやすさの両面で高い評価を得ている。
もちろん、自社で以前から使っているシステムがある場合には、そのオペレーションだけを任せることも可能だ。採用アウトソーシング会社には、さまざまな管理ツールを使いこなしてきたノウハウがあるので、同じツールを使ってもより効率的な使い方ができることが多い。独自ツールを借りなかった場合も、そこから学べるノウハウは決して少なくはないはずだ。
4)教育・研修
今後、利用が伸びると考えられているのがこの分野。せっかく母集団を集めても選抜が的確でなければ質の高い採用は望めない。そこで面接官のトレーニングに注力しようとする企業が増えているからだ。
また、内定をいくつも取るような優秀な学生を獲得するには、面接官自身が企業を代表する立場として、魅力的でなければならない。これはリクルーターでも同様だ。
採用アウトソーシング会社では、面接代行などを通じて培ったノウハウを基に、さまざまなシチュエーションで使えるトレーニングを行っている。役員面接などで重要になってくる「口説きのテクニック」を伝授する講座などもあり、今後一層注目が高まるだろう。
活用スタイルは自由
これらの業務は、企業が必要な要素だけをピックアップして委託できる。たとえば、地方でも会社説明会を開催したいが、マンパワー的に難しい場合に、「地方での会社説明会の当日の運営のみ」をスポット的に依頼するような利用法も可能だ。
逆に、採用戦略の策定といったコンサルティング的な要素を含むフェーズから年間を通して関わってもらうパートナーシップ的な契約もできる。つまり、採用アウトソーシングとは、基本的にオーダーメイドの業務といえる。
センター業務と常駐業務
採用アウトソーシングのサービスを、スタッフの居場所で分けると「センター(またはリモート)」と「常駐」に大きく分類できる。
まず、「常駐業務」は文字通り、委託企業の社内にスタッフが常駐するパターンだ。その場にいるため何が起きても機敏に対応できるのが強みといえるだろう。反面、十分な業務量がないとコストパフォーマンス的には割高になってしまう。
一方の「センター業務」は、打ち合わせや学生との直接的な接触が必要な場合以外は、基本的に業務をアウトソーシング会社内で行うもの。近年ではITのセキュリティー機能が整備され、どうしても自社内で行わなくてはならない業務は減っている。また、メールや携帯電話を活用すれば、担当者がどこにいてもすぐに連絡がつくため、委託企業側も常駐にはこだわらなくなっている。現在の主流パターンはこちらといえるだろう。
管理者不要のサービス
採用アウトソーシングサービスの特色は、これらの実務を自律的に遂行できることだ。単にマンパワーが不足しているだけなら、人材派遣やアルバイトなどを利用して応募者のデータ管理や面接日程の調整などを行わせることもできるだろう。しかし、派遣やアルバイトの場合、常に自社の社員が管理者となって指揮・命令を行う必要がある。それに対して、採用アウトソーシングは基本的に業務委託なので、採用アウトソーシング会社側の管理者と事前に打ち合わせておけば、それ以降の細かい管理は不要となる。