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専門家コラム

採用を最適に機能させる組織横断プロジェクトの作り方

2022-08-17 テーマ: 人材採用

採用を最適に機能させる組織横断プロジェクトの作り方
~プロジェクト成功のための3つのステップを解説~


採用は、全社で取り組むべき「経営課題」であるという認識を社内に定着化させること


採用活動が人事担当者任せになっている企業の悪循環

近年、過去と同じ方法を踏襲するだけの採用活動では上手くいかない企業が増えている。
その背景には、生産労働人口の減少により応募者を確保することが難しくなっただけでなく、慢性的な売り手市場(求人数が求職者数を大きく上回り、求職者が優位に活動ができる状態)の中で、採用活動が成功するように各社工夫を凝らすようになったことも大きい。
また、就職活動・転職活動における手段も多様化し、大手ナビサイトから応募する以外に、スカウト型、マッチング型、特色のあるリアルイベント、オンラインでの説明会参加、紹介型(リファラル)、アルムナイなど、多様な選択肢が広がっており、企業側も求職者側も複数の選択しを並行で活用しながら、活動を進めているのが実際である。
このような状況で、対応する企業側の採用活動を人事担当者任せにすることで機会損失に繋がる可能性が高い。採用専任で動くことができる人事担当者は、全国を見渡しても多いとは言えない。兼任の担当者のみでは、採用活動が後手になり、十分な人材が質・量ともに確保できず、現場配属後のミスマッチを誘発する。この難局を乗り切るためには、組織で対応していく他ない。
本稿では組織で対応すべき採用成功の3ステップを示したい。


ステップ1は、採用チームで対応する際のメリット・留意点を整理することである。

採用活動をチームで対応することで以下のメリットが挙げられる。

1. 複数人で対応することで、求職者へのフォロー精度が上がる
2. 現場で勤務するメンバーをチームに引き入れることで、リアルな情報を届けることができる
3. 現場メンバーが入社前から求職者に関わることで、育てる意欲の醸成


配属した人材について、人事担当者が勝手に選んだ人材だと現場から意見が上がることはよくあるケースである。
そのため、チームに現場人材が入り、現場のリアルな情報伝達とともに、入社前から関わりを持ち、自部署で育てる意識を醸成できることは対社内の観点からメリットである。
一方で、留意点も押さえておきたい。

1. PJメンバーに引き入れたい現場のメンバーは多忙である
2. チームで動くことによる情報伝達遅れが発生する

求職者への対応力を高めるためにチームを組成したはずが、メンバーが不活性状態では、本末転倒である。
現場の上司への協力依頼は必須としたい。
上記のメリット・注意点を踏まえた上で、採用活動を最適に機能させる組織横断のプロジェクトを立ち上げたい。


ステップ2は、プロジェクトメンバーの選定である

プロジェクトメンバーの人選では、以下3点をポイントとしたい。

1. 面倒見の良さ
2. 業務を一通り経験し、面白みを感じており、語ることができる
3. 年齢・役職はバリエーションが欲しい

面倒見の良さは、意外と思われるかもしれないが、必要な素養である。採用活動において、求職者が選社ポイントとして挙げることが多いのは、「会った社員の印象」である。優秀な求職者であればあるほど、複数社から内定を獲得し、比較し、入社企業を選択する。その際には、「〇〇会社の担当者にお世話になったな。」と感じさせることが重要である。そのためには、採用チームメンバーは、面倒見がよく、気が長い人物である必要がある。
また、チームメンバー全体のバランスを考え、様々は年齢層、役職者がいると良い。求職者は、出会った社員に、自分の入社後のイメージを重ね、想像することができるかどうかを判断している。キャリアステップが想起できるよう、違った目線からの情報を提供したい。


ステップ3は、経営者がプロジェクトに積極的に参加し、プロジェクトチームが完成する

経営課題である採用において、経営者の振る舞いは、プロジェクトの成否に大きく関わってくる。採用が成功している企業の多くは経営者が採用に関心を持ち、積極的に採用活動に関わっているものである。
採用における組織横断のプロジェクトが組成され、チームメンバーの役割と経営者の役割は明確に設定する必要がある。採用活動全体の設計をする中で、チームメンバーの誰がどのタイミングで、どんな発信をすることが、求める人物を確保するために最適な戦略であるかを設計する必要がある。経営者の役割は当然、然るべきタイミングで求職者の前に現れ、企業の未来を語る。求職者は、企業のまだ見ぬ未来に期待して企業探しをしており、経営者の言葉以上に信頼度があるものはない。
これまで、採用における組織横断型プロジェクトが成功するポイントを3つに分け、解説してきた。プロジェクトが1つのチームとして機能するためには、社長を筆頭にし、チームの意思統一が必須である。自社の未来を作る仲間集めに、全社で取り組むべきミッションとして意義を感じ、取り組んでいくべきである。


※本コラムは立入が、タナベ経営の経営者・人事部門のためのHR情報サイトにて連載している記事を転載したものです。

【コンサルタント紹介】
株式会社タナベ経営 HRコンサルティング事業部
HR大阪本部 コンサルタント
立入 俊介

総合人材サービス会社にて、大手企業~中小企業の新卒採用・人材育成支援に従事。プレイングマネージャーとして組織マネジメントを担い、社内外両面の組織改革を経験。タナベ経営入社後は、採用領域での知見を活かしながら、「社員が活き活きと働き、周囲に薦めたくなる組織作り」の信条のもと、人事領域全般の課題に取り組んでいる。

主な実績
新卒採用支援
人材育成支援(育成計画の立案、研修の実施支援)
組織活性化施策立案(組織戦略立案、部下育成、人事考課、組織風土改善PJ など)
人事評価賃金制度コンサルティング

株式会社タナベコンサルティング コンサルタント
創業60年以上 約200業種 15,000社のコンサルティング実績 企業を救い、元気にする。皆様に提供する価値と貫き通す流儀をお伝えします。
強い組織を実現する最適な人づくりを。 企業において最も大切な人的資源。どのように育て、どのように活性化させていくべきなのか。 企業の特色や風土、文化に合わせ、組織における人材育成、人材活躍に関わる課題をトータルで解決します。

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