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セルフ・スクリーニング
[セルフスクリーニング]

「セルフ・スクリーニング」とは、企業が求人募集をする際、自社の情報を詳細に開示することにより、求職者自身がその組織に適しているかどうかを判断できるようにすること。条件やカルチャーに合わない応募を抑制し、業務効率を高める効果があります。セルフ・スクリーニングは「RJP(Realistic Job Preview)理論」という、ポジティブな情報だけでなく、現実に即したネガティブな情報も事前に開示するという採用方針で挙げられる効果の一つで、ミスマッチによる早期退職を軽減させるための手法です。

セルフ・スクリーニングのケーススタディ

企業と求職者のミスマッチを事前に抑制する
セルフ・スクリーニング

「入社後3年以内に3割の従業員が辞める」といわれます。2020年に厚生労働省が発表した調査によると、実際に新規大卒就職者の32.8%が就職後3年以内に離職しています。また、リクルートの調査では、中途入社においても2割の人事担当者が「過去3年と比較して入社半年以内に離職した社員数が増えた」と回答しています。

早期離職を引き起こすミスマッチには、いくつかの種類があります。まずは、能力と仕事の難易度にギャップが生じてしまう能力のミスマッチ。次に「もっと裁量のある仕事ができると思っていた」「こんなにハードワークだと思っていなかった」など、期待のミスマッチ。そして、「社風が合わない」といったフィーリングのミスマッチ。

これらのミスマッチを解消するため、事前にありのままの姿を見せようという発想から生まれたのが「RJP理論」です。RJP(Realistic Job Preview)は、日本語では「現実的な仕事の事前開示」などと訳されます。多くの母集団を集めたいと願う企業は、自社のポジティブな面に焦点を当て、採用広報活動を行います。これに対して、RJP理論では、ネガティブな情報も含めてリアルな状況を開示します。

RJP理論では、複数の効果が期待されます。その一つであるセルフ・スクリーニング効果は、ミスマッチで早期に会社を去る可能性がある人たちの応募が抑制されます。セルフ・スクリーニングによって母集団が減少することを懸念する声もありますが、母集団が多いほど良い人と出会えるわけではありません。

二つ目は、ワクチン効果。会社の実態について、事前に免疫をつくっておくという考え方で、ネガティブな側面を事前に知らせておくことにより、入社後のギャップを最小限に抑えることができます。三つ目は、コミットメント効果。自社のありのままの状況を開示する姿勢は、求職者には誠実に映ることがあります。その透明性から、組織コミットメントが高まることにつながります。

企業が従業員を選ぶだけではなく、従業員も企業を選ぶ時代。入社後も気持ちよく働いてもらえるよう、企業や人事担当者は入社者が「自分で選んだから」と納得できるような情報開示を行うことが大切です。

・参考
新規学卒就職者の離職状況(平成29年3月卒業者の状況)を公表します(厚生労働省)
中途入社後活躍調査 2018-2019(リクルート)

企画・編集:『日本の人事部』編集部

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