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新卒失業者
[シンソツシツギョウシャ]

「新卒失業者」とは、正社員として就職できない新卒者のことで、大学などの高等教育を修了しても学歴に見合った仕事が見つからず、キャリア形成のスタートラインにさえ立つことのできない若者を指します。近年は、不況による採用抑制といった一過性の要因だけでなく、グローバル競争の激化をうけた企業の厳選志向や即戦力志向、教育と雇用のミスマッチなど構造的な問題が新卒失業者の増加に拍車をかけているといわれます。

新卒失業者のケーススタディ

団塊退職に景気回復でも若者は就職難
ファーストジョブの喪失は世界的傾向に

文部科学省の学校基本調査速報によると、2012年春の大卒者は昨年比1.2%増の55万9000人で、このうち35万7000人が就職しました。就職率は63.9%で2.3ポイント増え、2年連続でわずかながら持ち直したものの、その一方で全体の15.5%にあたる約8万6000人が就職も進学もしていません。このうち57.1%が求職中で、学びの場と職業社会のかけ橋である「ファーストジョブ」(最初の仕事)に何とかたどりつこうと苦労しています。

かつては団塊世代を含む中高年の既存社員の“数の多さ”が、若者の労働市場への参入機会を奪っているのではないかといわれてきましたが、そのベテランもいよいよ席を譲りつつあります。1947~49年に生まれた団塊世代約700万人が昨年から退職年齢にさしかかり、大量リタイアが始まりました。本来ならすでに労働力不足に陥ってもおかしくない状況であり、国立社会保障・人口問題研究所の推計によると2030年には生産年齢人口が6773万人まで減少すると予測されていますが、にもかかわらず、若年層の就職難の改善はごく緩やかです。企業側にも若者の採用を急ぐ機運はいまのところ見られません。

リクルートホールディングスが4月23日に発表した2014年春卒業予定の大学生・大学院生の求人倍率は1.28倍で、13年卒の1.27倍からほぼ横ばいとなっています。また読売新聞社が国内の主要企業122社を対象に行った2014年春の採用アンケート調査では、採用数を「前年並み」と回答した企業の割合が50.8%と最も多く、次いで「減らす」(採用中止含む)が21.3%、「増やす」(採用再開含む)は昨年を下回る19.7%にとどまり、企業収益には改善の兆しが見られるものの、新卒採用には慎重な姿勢を崩していないことが明らかになりました。

団塊世代が退職し、景気が回復局面にあっても、新卒失業者数が高止まりしているのは、企業と若者自身、双方の事情によるところが大きいと考えられます。前者の要因としては、グローバル化の進行で仕事そのものが国内から失われ、新卒者の入り込む余地が激減していること、また競争に勝つために即戦力を求める機運が高まっていることなどが挙げられます。後者については、学生が大手企業や人気業種に固執して自ら就労の選択肢を狭めてしまう、雇用のミスマッチがまだ根強いようです。

いずれにせよ、こうした若者の就職難は日本にかぎらず、欧米から新興国まで広がり、世界共通の課題として認識され始めました。日本より失業率の低い韓国では、ソウル大学などの最上位校でも三人に二人しか就職できず、アメリカでも就職した新卒者のうちフルタイムのファーストジョブに就けるのは半分、残りはパートタイムで働くことを余儀なくされているという調査結果が出ています。労働市場のグローバル化がさらに進めば、こうした外国の新卒失業者が日本に職を求めて押し寄せる日もそう遠くないかもしれません。

企画・編集:『日本の人事部』編集部

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