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「新卒採用」の注目ニュース

新規大卒者のうち、地域限定等での就職を希望する者は多い一方で、正社員採用予定人数に占める地域限定正社員の割合は4%~『多様な選考・採用機会の拡大に向けた検討会報告書』(厚生労働省)

[2017.12.27]

我が国では、ICT・AI・IoT等の進展により、産業構造や各企業の事業構造の大きな変化が見込まれる。また、職業キャリアが長期化し、少子化や価値観の変化等を背景に働き方のニーズが多様化する中で、企業と労働者双方のニーズに応え、多様な選考・採用機会の拡大を図る必要がある。

このためには、勤務地・勤務内容・勤務時間などに限定のある働き方や転職・再就職について、職業キャリアにおける時間軸の中で、それぞれの場面に応じた方策を総合的に講じていく必要がある。

こうした観点から、独立行政法人労働政策研究・研修機構においては、平成29年8月から「多様な選考・採用機会の拡大に向けた検討会」(座長:佐藤博樹・中央大学大学院戦略経営研究科教授)を開催し、厚生労働省からの協力を得て、「働き方改革実行計画」で示された講ずべき施策の方向性を踏まえ、特に課題となっている新卒採用における地域限定正社員と中高年齢者の転職・再就職に重点を置いて検討し、企業、労働者及び国それぞれが、多様な選考・採用機会の拡大のため、講ずることが望ましい取組について整理を行った。今般、別添のとおり本検討会報告書がとりまとめられたので公表する。

 

報告書のポイント

●新卒者等に係る現状・課題等
新規大卒者のうち、地域限定等での就職を希望する者は多い一方で、全国・海外展開をしている企業においては、正社員採用予定人数に占める地域限定正社員の割合は4%となっている等、実際には多様な働き方に関する希望が叶いにくい実態がある。加えて、中小企業においては、情報発信の弱さからその魅力が伝わりにくく、地域で将来のキャリア展望が描ける雇用の受け皿が見えにくくなっている。また、新卒採用において多様な応募機会を設けている企業は多いものの、2割程度の企業においては、特定の時期に一括募集を行い、これ以外の時期に募集を行っていないため、この時期に就職活動ができない事情がある学生等の応募機会が狭められているケースがある。

 

●転職・再就職者に係る現状・課題等
我が国の労働市場において、入職者の約6割は転職・再就職者が占めており、転職・再就職者は若年者を中心に増加している。しかし、年齢が上がるにつれて、転職者は減少する傾向にあり、転職後の賃金についても、上がりにくくなる現状がある。

一方、  中高年齢者の中途採用に前向きな企業の割合は、採用実績のない企業では3割程度に止まるが、過去に採用実績がある企業では6割超まで高まる。

また、異業種からの転職者であっても、同業種からの転職者と同様に活躍しているという実態がある。このことは、専門性のみならず、コミュニケーション能力など、いわばコンピューターのOSのような異業種においても共通して発揮される職務遂行能力が、企業横断的に活躍するために重要であることを示している。こうした職務遂行能力は、職務経験により培われるものであり、職務経験が豊富な中高年齢者こそ転職後の活躍が期待される。

 

●多様な選考・採用機会の拡大に向けて望まれる取組
【企業】

新卒採用において、新卒者等の中長期的なキャリア形成が可能な地域拠点を有する場合に、当該地域に限定して働ける勤務制度を導入するなど、新卒者等が希望する地域で将来のキャリア展望が描ける募集・採用の仕組みを積極的に検討する。また、新卒者等の適職選択のため、採用後の処遇や働き方、選択した採用区分ごとのキャリア展望等に係る情報開示に積極的に取り組む。一方、過度な負担とならない範囲で、画一的な募集スケジュールでの対応が困難な新卒者等に対して、個々の事情に配慮した柔軟な対応を行う。

中途採用においては、必要とする専門性や職業能力の水準、範囲等を明確に整理し募集・採用を行う。また、転職者と企業のミスマッチ防止の観点から、賃金等の労働条件や職務内容に限らず、期待する役割や人柄、職場情報、企業文化等の提供に積極的に取り組む。加えて、多様な経験や職業能力をもった人材の確保ができるように、異業種においても共通して発揮される職務遂行能力に着目し、元の職業・職種に関わらない募集・採用を検討する。

また、  労働者の専門性に加え、異業種においても共通して発揮される職務遂行能力等について適正な評価に努めるとともに、必要に応じて個別契約を結ぶことにより、社内・社外双方で公平性を保つ処遇を柔軟に決定する。また、即戦力として中途採用する場合であっても、転職者が能力を十分に発揮できるよう早期定着支援を積極的に行う。さらに、高度に専門的な業務を切り出し、専門職のウェイトを高めていくことなどを検討する。

【労働者】
労働者は、人生100年時代において、転職・再就職を前提としたキャリアを念頭に置き、定年後も  見越した、自らのキャリアの棚卸しや職業能力向上を、早い段階から主体的に行っていく必要がある。

【国】
国は、新卒者等や転職・再就職者の採用・選考に関する適切な情報発信、企業の前向きな取組に対する支援、好事例などの普及促進、各職種の賃金や働き方、職務遂行能力の見える化、リカレント教育プログラムの拡充等の施策の充実が求められる。

 

【参考資料】
企業ヒアリング内容
2017年12月26日JILPT記者発表「大学生・大学院生の多様な採用に対するニーズ調査」
2017年12月26日JILPT記者発表「企業の多様な採用に関する調査」

 

独立行政法人労働政策研究・研修機構(理事長 菅野 和夫)
研究調整部長 内田 寛子
研究調整部研究調整課長 小此木 裕二
電話:03-5991-5102

 

厚生労働省<照会先>
職業安定局雇用政策課
課長 弓 信幸
課長補佐 西川 誠明
電話:03-5253-1111
内線:5732
人材開発統括官付若年者・キャリア形成支援担当参事官室
参事官 伊藤 正史
室長補佐 林 幹雄
電話:03-5253-1111 内線:5282

 

◆ 詳しくはこちら(PDF)をご覧ください。

(厚生労働省 http://www.mhlw.go.jp// 12月26日発表・報道発表より転載)

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